【中評価】「元祖！？『野菜かすてら』！（130gとか90ｇとか色々あるよ）」 「激辛本音くん」さんの「横山のカステラ　野菜かすてら」についてのクチコミ・評価

元祖！？『野菜かすてら』！（130gとか90gとか色々あるよ）
なにを隠そうこのわたくし、遠い遠い昔からの一口かすてらフリークスであり、同時に敬虔なる信者であり、また崇拝者でもあります。おそらくですが、人生で一番初めに食べた一口かすてらが、この横山さんの『野菜かすてら』だったと思います。
あれから一体どれだけの月日が流れたでしょうか。食品・お菓子業界は日進月歩で進化しており、事この十数年に関しましてはその発展は目覚ましくて、大手企業のお菓子はもちろんのこと、零細企業のお菓子に至っても、美味くて仕方がないといったレベルにまで達しているのはいうまでもありません。
そんなお菓子戦国時代において、一口かすてらも次々と新手が姿を現して、同様に味・品質の研鑽が進んできました。するとどうでしょうか。ある時から、あんなに好きだった横山さんの野菜かすてらでは、なんとこのわたくしですら、満足できなくなってしまったのです。
久しぶりに食べた時の感想だって…「なんだか食感がよくないな」とか「独特の洋生菓子の匂いがする？」とか「そもそも味が地味？」とか、そんなまるで野菜かすてらを貶めるような、不遜極まりないものだったのです。
なんてことはありません。不肖このわたくしめが、お菓子戦国時代により磨かれて、いわゆるガラパゴス化した、ちょっと度を越して美味すぎる、今現在のお菓子に、口が、味覚が、完全に慣れてしまったということなのであります。突き詰めて言えば、もう素朴で刺激の低い味では、単に満足できない、そんなある種の堕ちた体になってしまっていたのです。
そう、横山さんの野菜かすてらは、平たく言えば昔からなにも変わっていないのです。いい言い方をすれば、根本に素直な素朴なお菓子。悪い言い方をすれば、まるで成長していない時代に取り残されたお菓子、ということになるかもしれません。
しかしどうなのでしょうか？最近思うのであります。成長は大事だし、進化も非常に大事です。古いものは廃れて、新しいものに移り変わっていくのはこの世の摂理なので、これも大いに許容するべき事柄です。それを食べ物に置き換えたならば、生産性を高めたり、安全性を高めるのはとても大事だし、有意義だし、必要であると思います。しかし味に関しては、もうこの辺でいいのじゃあないかと、そのように思うのです。だってそうじゃないですか？最近巷で騒がれる美味いもの、人が勧める美味いものって、結局はどれだけ旨味成分をぶち込むか、どれだけ塩を投入するか、どれだけ砂糖・人工甘味料を投下するかに、尽きてしまっていると、そう思うのですよね。単刀直入に言ってしまえば、どれだけ味が濃いかで、評判の良し悪しが決まるというわけです。あとついでに言ってしまえば、インスタやユーチューブで注目されるのは、どれだけ盛るか、とか、「大食い」みたいなワードが入っているやつばかりで、正直その短絡さに辟易されられますよ…本当に。こんなものがランキングに上る現し世は、正直異常だし、病んでいるし、ちょっと色々とマズいのですよね…マジで。
そんな中、ローソン100で見かけたのが、この横山さんの『野菜かすてら』でした。小麦の値段の高騰により、一口かすてらの実質値上げが続く中で、130グラムでお値段は100円という圧倒的なコスパの高さ。確かあんまり美味しくなかったよな―と思いつつも、そのお値打ち感に負けてしまい思わず購入を…自宅に戻りさっそく食べてみると――
ううおおぉぉぉお！なにげにうめえぇ！
ちょっと固いけれども、その固さがいい意味で喉越しになっている生地に、独特の、古き良き時代を連想させる、洋風っぽさが前面に押し出されたカステラ本来のか・ほ・り！！甘みもちょうどよくて、中毒にはならないけれどもクセになる、そんなあまりにも絶妙すぐる塩梅！
完璧じゃない！決して完璧ではない！でもちょうどいい！ちょどいいからこそ良品！一重にこれは……う・ま・い・ぞおおぉありがとうぅぅぅ！
結局は横山さんの野菜カステラから、わたくしは、食べて食欲を満たすのはもちろんですが、それ以外の大切なことを受け取ることができたのだと、そのように思います。
変わることがほめそやされる、意識高い系の現代において、変わらないことの大切さ、心に芯を持ち、自分を決して変えないことの大切さ、なによりも尊さ…わたくしは、横山さんの野菜かすてらから、それらの真理を学び、また同時に受け取りました。
よく考えたら最近は、特に味の濃いお菓子ばかり食べていて、たまに素朴なお菓子を食べると満足できないどころか潜在意識下で「まずい」と思ってしまっているなーと心当たりのある方は、是非とも一度、この素朴を絵に描いたようなお菓子、横山さんの『野菜かすてら』を手に取っていただけたらなーと思う、今日この頃であります。
古きを訪ねて新しきを知る…これもまた一興であり、生活であり、人生でありますからなあ。