【高評価】「滋味を掴み取れる味覚でありたい」 「メソポタミア」さんの「ローソン　ブランのセサミスティック」についてのクチコミ・評価

滋味を掴み取れる味覚でありたい
穀類とは本来、手放しに美味しい物ではない。
成長に必要な甘い核は苦味や雑味に包まれて、その余分な外皮を剥き取る技を産み出した現代人は真っ白に精製された部分のみを当たり前として頂いている訳である。
そして同時に、外皮が持つ複雑な風合いを不味いと感じるようになり、舌は退化しつつあるのである。

このブランシリーズは私を含めた現代人の“ロマンスが有り余って贅沢しすぎた”味覚をフラットに戻す手助けをしてくれる貴重な存在。
当品でもブランの持つ苦味と雑味は消されておらず、知らずに食べると うっ… となってしまうだろう。
しかしその慣れない苦味の奥には小麦の甘さがあり、ゴマの香ばしさが弾けた時のブランとの相性や、穏やかでリッチなバターの旨味、かすかに添えられたクッキー生地のご褒美的な甘さなどが密やかだが滋味深く、退化した味覚を試すようだ。

もっともっと、と求めすぎず、本来の味覚に立ち返るこういう品はとっても大事だ。
キラキラお目目の美人に惑わされず、身の丈を決して忘れない姿勢でありたいものである。