2011年の東日本大震災から今年で7年。
「被災の時に支えてもらった恩を返したい」と、東北のブルワリーが結成した「東北魂ビールプロジェクト」による新作ビール「東北魂的IPA」が発売となりました。
8社が同じレシピで同じビールを造るという面白い取り組み。それぞれに違いはあるのでしょうか?東京・代官山にある「スプリングバレーブルワリー東京」で行われた試飲会に伺ってきました。
「東北魂ビールプロジェクト」とは?
「東北魂ビールプロジェクト」とは、東北のクラフトビールブルワリーが有志で集まり、世界に通用するビールを造るために始めた勉強会のこと。ビール造りの閑散期などを利用し、技術や知識を共有しながら仕込み実習などを行っています。2013年に3社から始まった同プロジェクトは、今では東北以外にも8社が参加する規模になりました。
きっかけは東日本大震災。発起人であり代表をつとめるいわて蔵ビール・佐藤社長は「被災して本当に大変な時期に、全国のクラフトビールファンから色々な形で支えてもらった」と当時を振り返ります。
「東北から世界に通用する品質の良いビールを提供することが、私たちにできる恩返し。本来ライバル同士ではありますが、クラフトビールの品質向上のため競争ではなく共生しながら切磋琢磨していきたい」という言葉が印象的でした。
発足以降、これまでに行ってきた研究は「特産品のフルーツを使って」「ひとつのホップで」「燻製ホップを使ったスモークエール造り」など。回ごとにテーマを決めて技術や知識を持ち寄り、ビールを造ってディスカッションを繰り返してきました。さらにはキリンビールの協力により、今回からビールの数値分析が可能に。味や香りなど人による今までの官能評価だけでなく、さまざまな角度からビール造りを学べているとのこと。
東北産ホップ「IBUKI」を使った商品「東北魂的IPA」
今回のプロジェクトでは、参加ブルワリー8社が同じレシピで同じビール「東北魂的IPA」を醸造。さっそく8種類を試飲させていただきました!
国産ホップをふんだんに使うため、豊かな香りと苦味が特徴の商品。写真ではちょっと分かりにくいのですが、見た目から色の濃さに違いがあります。
試飲してみると、ほのかに甘い香りがするもの、口当たりが軽いもの、深いコクを感じるもの、あっさりしているもの、チーズのような酸味を感じるもの…と香りや風味がかなり異なりました。これにはびっくり!
先ほどのいわて蔵ビール・佐藤社長は「各ブルワリーの設備や、原料を入れるちょっとしたタイミングで変わるようです。ただ実際に醸造してみてこんなに違うとは思っていなかった。我々もびっくりしています」と話します。
「東北魂的IPA」はどこで飲めるの?
「東北魂的IPA」は、3月7日以降、全国100カ所以上の飲食店で味わうことができます。たとえばこの日会場となったスプリングバレーブルワリー東京では、3月末頃まで同社といわて蔵ビールの2種飲み比べが楽しめます。注文すると1杯あたり10円が東北の震災復興支援の一環として、石巻市でホップ栽培を手掛ける「イシノマキファーム」へ寄付されます。
ほか、店舗情報は東北魂ビールプロジェクトFacebookページから確認できます。東北からの恩返しであるビールを飲んで、さらなる復興支援に役立てましょう!
◆東北魂ビールプロジェクトFacebook
https://www.facebook.com/tohokubeerproject/
◆スプリングバレーブルワリー
http://www.springvalleybrewery.jp/
◆商品概要
・商品名:東北魂的IPA
・発売日:2018年3月7日(水)
・販売場所:SVB東京ほか全国100カ所以上の飲食店
・価格:販売場所によって異なる
・アルコール分:5.5%
・製造:東北魂ビールプロジェクト参加8社
(いわて蔵ビール、秋田あくらビール、福島路ビール、仙南シンケンファクトリー、遠野ズモナビール、やくらいビール、田沢湖ビール、スプリングバレーブルワリー)
・原材料:麦芽・ホップ
・商品特徴:海外産ホップ「Citra(シトラ)」「Mozaic(モザイク)」、国産ホップ「東北産IBUKI」による、柑橘のような華やかな香りと、シャープな苦みが特徴
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