皆様ごきげんよう。菅目直衣、一筆啓上つかまつる。
六月ただなか梅雨時分、毎年のことながらぐずついた天気が気を滅入らせる。だがこの時期に”和菓子の日”という記念日があるのは意外と知られていない。その起源は平安時代にさかのぼり、仁明天皇在位のおり国内に疫病が蔓延し、6月16日に神前に菓子や餅を供えて疾病よけと健康招福を祈ったのが始まり。
みたらし団子に緑茶を沿えて
そしてこの“和菓子の日”にあわせて、セブンイレブンでは全国を5つのブロックに分け、それぞれの地域ごとに特色のある味わいを生かした「みたらし団子」が販売されている。
“みたらし団子”とは
それ自体は皆さんよくご存知のとおり、団子に甘辛い砂糖醤油の葛餡をからめたもの。そもそもは京都の下鴨神社で7月土用の丑の日前後に行われる「御手洗まつり」がその名の由来である。この祭りの頃、境内の糺の森(ただすのもり)内の御手洗(みたらし)池からは水泡が湧き出し、これをかたどった団子を「みたらし団子」と呼んだというのが有力な説だ。
地域ごとに独特の変化を遂げた「みたらし団子」
当初は串に大きめの団子を一つ、小さめのものを4つ刺した串団子の形であった。それが全国に広まるにつれ、土地ごとにさまざまな変化を遂げて今日に至っている。
今回のセブンイレブンの「みたらし団子」で具体的に見ていくと、まず北海道では「冷やししょうゆ団子」。タレは甘味が強く、醤油は日高昆布醤油。出汁には昆布とカツオを用いている。北海道では“しょうゆ団子”という名前で親しまれているようだ。
東北から甲信にかけては「だし香る冷やしみたらし」。重ね仕込み醤油を用いたタレはしょうゆの風味が強く、シンプルですっきりとした味わい。出汁はやはり昆布とカツオ。
北陸から関西にかけては「冷やしみたらし」。タレは真昆布の出汁感にあふれ、たまり醤油など3種の醤油を組み合わせている。丸い容器にはたっぷりのタレと団子も7つ入りでお得感あり。
中国・四国地域では「もっちり食感みたらし団子」。タレは木樽天然醸造濃口醤油を使った濃い目のもの。出汁は真昆布で、名前のとおりもちもちした食感の団子には焼き目がつけてある。
最後に九州では「うまみだれのみたらし団子」。その濃厚なタレは大分県の醤油「富士甚 初茜」と、出汁として昆布のほかにアゴ(トビウオ)・サバといったいわゆる雑節とを組み合わせている。団子にはしっかり焦げ目がつけられていて香ばしい。
あれこれ食べ比べしてみたいところだが、それぞれ地域ごとの限定発売なのでそうもいかないのが残念だ。というわけで今日は私の地元で手に入る「もっちり食感みたらし団子」を食べてみたい。
「もっちり食感みたらし団子」その味その食感はいかに
楊枝が入っているほうから開封しよう
パッケージはちょっと珍しい、団子5つが横一列に並んだ細長いもの。楊枝が入っているので串団子というわけでもなさそうだ。焼き目のついた団子に濃い目のタレが絡んでがいかにも香ばしそうである。
刺した楊枝からも伝わるもっちり感
皿に取り出してみると団子は結構柔らかめ、濃い口醤油の色をしたタレは香ばしさの入り混じった甘辛い香り。とろりと団子に絡まって、水面のように明かりを映す見事な照りだ。楊枝の下には透明のフィルムが敷かれており、むやみとタレで汚れないように心配りがされていたのは特筆に価する。
タレだけでなく団子までてろんと垂れる柔らかさ
団子の柔らかさは持ち上げるとてろんと垂れるほど。特に暖めたわけでもなく、冷蔵庫から出した冷たいままでこうである。横一列の細長いパッケージは、この柔らかさゆえに団子同士がくっつかないようにするためだろう。
口に入れれば絡まるタレはほどよく甘辛く、醤油の風味を昆布の出汁が下支えしてなんともまろやかな味わい。団子を噛めばもっちりと歯が沈み込み、しかしぷちんと歯切れよく噛み切れる。舌触り、歯応えともに固いばかりの安い団子とは格が違うと言えるだろう。
口コミで地域の味を教えあおう
タレの味わいもさることながら、食感もなかなか素晴らしかった「もっちり食感みたらし団子」。こうなると他の地域のみたらし団子もぜひ食べてみたいところであるが、そうそう日本全国飛び回るわけにもいかない。できたらそれぞれの地域のみたらし団子を食べた方は、どしどしもぐナビに口コミを寄せて欲しい。お互いそれを読んで、よそのみたらしの味わいに思いをはせるのもおもしろいだろう。もちろん中四国の方からの口コミも大歓迎である。
それではひとまず熱い緑茶で締めくくり、全国からの口コミを待つとしよう。どんな話が聞けるかいまから楽しみである。