今日からもぐナビニュースの「食のキュレーター」に参加することになった、管目直衣さんのスコーン食べ比べ記事をお届けします。
管目さんには鋭い分析力と、豊富な知識で、さまざまな食品の紹介を行っていただきます。
四国在住のライターさんなので、地方限定商品なども取り上げていただく予定です!
これまでのもぐナビニュースの記事とはちょっとテイストが異なる管目さんの文章を、ぜひお楽しみください。
最新のスコーン食べ比べ記事はこちら!
【コンビニスコーン食べ比べ】スタバ、ファミマ、ローソン、ライザップ!味も食感も全然ちがう♪
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「スコーン」――コイケヤのスナック菓子ではない。コンビニなどで見かけるようになった固めのパンのような食品である。それらはただ「スコーン」と呼ばれているが、実際には大きく分けて二種類あるのはご存じだろうか。
似ているようで微妙に違う三種のスコーン
一つは「ブリティッシュスコーン」。円柱状でおおむね塩味。ジャムやクリームを塗り、紅茶に添える「クリームティー」が代表的な食べ方だ。アメリカでは「ビスケット」と呼ばれ、パンのように食事として扱われる。ケンタッキーフライドチキンの「ビスケット」がクッキー然としていないのはそういうわけだ。
もう一つの「アメリカンスコーン」はというと、ほとんどの場合甘い生地に甘い具材が練りこまれ、扇形や三角形をしている。コーヒーショップで提供されることが多い。
共通しているのは“外側は固くサックリとしており、内側は柔らかくしっとりしている”ということだ。
今日は全国展開している三つの販売元のスコーンをそろえ、それぞれの実態を確かめるべく食べ比べをしてみたい。これらははたして「ブリティッシュ」か「アメリカン」か、はたまた全く別物か。
ゴツゴツしたスターバックス、シャープなローソン、ふっくらしたファミリーマートのスコーン
取りそろえた三種は以下の通り。
・スターバックス「チョコレートチャンクスコーン」
・ローソン「MACHI café チョコチャンクスコーン」
・ファミリーマート「Sweets+ チョコチップスコーン」
スターバックスやファミリーマートには他にもさまざまなスコーンがあるが、条件をそろえるためこれらチョコレートチップを練りこんだものに統一させてもらった。いずれも外見は三角に切り分けて焼き上げられた、いわゆる「アメリカンスコーン」のスタイル。では、一つずつ見ていこう。
スターバックス チョコレートチャンクスコーン
この中で唯一個包装されていない。紙袋はテイクアウトの汎用品である
ゴツゴツした外見のスターバックスのスコーン。濃厚なこだわりチョコレートを練りこんだ香ばしくてコクのある生地を、外はザックリ中はしっとり焼き上げたというふれこみだ。
大きく厚くどっしり重い
実際食べてみると、外皮は固くサックリしており粉状にほろりとほぐれる。一方で内側はややしっとりとやわらかく、やはり噛むより先にとろけていくような食感である。甘味は薄く、塩と小麦の滋味が感じられる。チョコチップはしっかりした歯応えでややざらつきを感じ、ビターな味わいが強い。おそらくカカオ分が高いのだろう。
加熱されてチョコチップは軟化している
軽くトーストしてやると外皮はより固くカリカリとした食感になり、内側はよりやわらかく甘味を感じるようになるが、やはり塩味のほうが強い。甘くないとはいえその食感はいわゆる「スコーン」というものの特徴によくあっている。
ローソン MACHI café チョコチャンクスコーン
MACHI caféのロゴ入りビニール包装。棚では焼菓子のような扱い
カチッとシャープなローソンのスコーン。ガーナ産カカオを使ったビターなチョコスコーン、とのことだ。
固めに焼きしめられたような手応えでややもろい
実際食べてみると、外皮はスターバックスについで固く内側も三者のうちでもっとも固い。生地全体がよく焼けていて、今一歩焼きが進めばソフトクッキーになりそうだ。生地はやはり塩と小麦の味が強いが、スターバックスのものよりはやや甘いか。生地がよく焼けているのと同様チョコチップも半ば焼きチョコレートのような状態で、カリッとしたもろい歯応えである。味わいはビターであるが、焼けている分やや香ばしさを感じた。
すでに焼かれているためかチョコチップは固い
トーストしてやるとまさにソフトクッキー、固くもろくホロホロと砕ける。生地自体も甘味が立ってくるが、小麦の味もまだ充分に感じられた。他の二者はチョコチップが柔らかく溶けているが、こちらはやはり焼けているため歯触りを保っている。全体にしっかりと固めに焼き上げられた生地は、どちらかというとバタークッキーに近い味わいに思えた。
ファミリーマート Sweets+ チョコチップスコーン
Sweets+のロゴ入りビニール包装。やはり焼菓子扱い
ふっくらした印象のファミリーマートのスコーン。口どけのよいしっとりした生地にダイス状ビターチョコを練りこんで焼き上げたとのこと。
見た目は大きいが案外軽い焼き上がり
これは持った時点でふわりと手応えがやわらかく、実際食べてみても外皮も内側も一番やわらかい。どうも卵が入っているようなしっとりした食感である。
酵母や乳酸菌も用いられ、発酵過程を経ているようだ
原材料を見るとやはり卵が入っていた。酵母や乳酸菌の記載もあることから発酵させてもいるのだろう、他の二者と比べて相当異なった食感となっている。生地も塩味よりははっきりと甘味をつけられており、食感もあわせて甘い焼菓子のようだ。チョコチップはやわらかめでなめらかな舌触り、スターバックスほどではないがビターなテイスト。
スターバックス同様チョコチップは軟化している
トーストしてやるとさすがに外皮はカリッとするが、内側はよりふんわりやわらか、スターバックスのものとはまた違うケーキかカステラを思わせる味わいである。小麦、マーガリン、砂糖、そして卵が入った生地は、さしずめ変形のパウンドケーキと言っていい。
食べ比べてみて
思った以上に食感も風味もそれぞれ異なり興味深いものがある。
最も「スコーン」らしいスコーンはスターバックスのものであった。アメリカ発のコーヒーショップだけあって、これが「アメリカンスコーン」の代表と言える。
一方で他の二者は「スコーン」の特徴よりやや外れているが、これはコンビニ販売であるがゆえであろう。その場で淹れるコーヒーも提供しているとはいえ、スコーンをはじめとするフード類はセットではなくあくまで別個。単独で食べても満足できるよう、一つは「クッキー」、一つは「ケーキ」へと変化した、そう思える。
ではそろそろ比較と考察から離れ、淹れたてのコーヒーで三様のスコーンをたのしみたい。