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至福の時
今宵は大人の嗜みについて語ろう。お酒だ。お・さ・け。日本人の半数以上はビールを好むという。わたしもビールが好きだ。だが愛してやまないのはウイスキーだ。毎晩飲む。なぜか?わたしがイギリス人だからだ。冗談だ。でもね、映画007でジェームズボンドがウイスキーをグラスに注いでストレートでグビッと飲むんよ。あれカッコいいわ。ああいう男になりたい。(ダニエル・クレイグの最新作「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」を観よう)ウイスキーはアルコールがキツいから敬遠する人が多い。若い頃に夜勤仕事をした時期があって日中眠るため寝酒に飲んだのが始まり。最初はサントリーレッド。ボンビーだったし。少しずついいウイスキーに上げていった。ホワイト、角瓶、オールド、リザーブ、そしてローヤル。感慨深い。シングルモルトよりブレンデッドが好きだ。最上級は「響」だけど毎晩飲むには高い。ローヤルは鳥井信治郎の最後にして最高の名作。黄金比ブレンド。その甘さは砂糖より上品。甘味を感じる舌先ではなく左右奥の苦みを感じる場所まで届く。味を堪能するにはトワイスアップがいい。ひとくち含めばフルーティで濃厚な風味に包まれる。舌先が少しピリッとするおかげでお酒を飲んでいることを自覚する。登山でテント泊するときはスキッドボトルに入れていく。登山家は早朝に発つので夜8時には就寝する。標高2千メートルのキャンプ場では夜に星が降る。天の川がクッキリと見える。星空を見上げながら飲むウイスキーは格別だ。雪解け水は市販の天然水より格段に美味い。マグカップに入れたウイスキーの琥珀色がランプに照らされる。心が癒される。電波は届かない。風の音しか聞こえない。自然の中にいる。生きていることを意識する。至福の時。自宅でウイスキーを飲んでいると山上の星空が浮かび上がってくる。単に酔っ払ってるんでしょって?そのとーり。おやすみなさい。