168円+税 これは残暑が見せた舌の記憶の物語。原材料、パッケージ表記、製造販売会社によるPRいずれにも関連事項無し。個人的味覚の記憶。
私が子どもだった頃、おけいこの定番はピアノ・そろばん・書道だった。
「何級までいった?」
検定の合否を競い合うそろばん教室の生徒を横目にしながら、自宅の離れに長机を並べただけの書道教室へ向かう。競書誌も無い、好きな字を好きなように書かせてくれた先生は余った半紙の使い回しも見て見ぬふり。当時の半紙代は50円。ちょうど雪印の「とうきびアイス」が買えた。とうもろこし型の最中で、中のアイスもほんのり黄色くトウモロコシの香りが斬新だった。
先生の関心が優等生に向かったことを確認して、今日の練習を下敷きで巻き筆を洗うと静かに退室。掃き出し窓に影が映らないよう身をかがめて横切れば脱出成功。手には戦利品の50円玉。