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丁度良いバランス
年寄り位しか買う人がいない助六寿司だが、私は好きなのである。特に当品のような、稲荷と太巻以外に細巻の付いた品は、ありそうでなかなかない。更にはその細巻きがありふれたキュウリやお新香ではなくしば漬けであると来た。もうその時点で3イーネ位の好印象である。
まず赤紫が渋い色味を放つ細巻だが、結構キュンと酸っぱい。酢飯そのものがキリッとしている上にしば漬けも甘さがなく酸っぱいので、かなり通好みの仕上がりだ。
これだけ酸っぱいと完食キツいわぁ・・・と思いきや、太巻の酢飯はナチュラルで柔らかな風合い。出汁をきちんと感じられる卵と甘い乾瓢、干し椎茸、珍しいのは刻み蓮根が巻き込まれている点で、歯をくすぐるようなシャリシャリ感がアクセントとなって良い感じだ。
稲荷はジュワッと汁ダクだが滴るような下品さがなく、口の中でジューシーに広がる。少し出汁の旨さがあり、甘く濃い味わいが堪らない。米の圧縮具合も強すぎず弱すぎず、揚げの煮汁と重なってパラリとほつれる。この具合が意外と難しいものなのだ。